独学のすすめ―時代を超えた巨人たち - 2 Angebote vergleichen

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   民俗学者谷川健一が、敬愛する6人の先達の生き方を通して、人生を自力で切り開いていくことの大切さを改めて問いかける。谷川自身が選んだ道も「生涯、独学者であり続ける」ことだった。柳田国男が興した日本の民俗学自体、独学に始まるわけだから、柳田に傾倒した著者としては当然の選択と言える。    だがこれも元をたどれば、国粋主義的傾向が強かった柳田が「西欧のマネ」を拒否したことに起因する。柳田にとっての師とは地に根ざした生活を送って来た老人や古い祠、さまざまな歴史的出土品、祭り道具、神社、地名、民話などだった。そして「日本人とは何か」という究極の命題に向かって、広範な知識と深い洞察力によって仮説を立て、自ら足を運んで検証する。その繰り返しだ。「結果ではなく関心の持続、問いの持続によってこそ民俗学は成立する」と柳田は語っている。  「人間とは何か」を問い続け、14年の海外生活も体験した南方熊楠（生物学、民俗学）、後に柳田と対立する折口信夫（国文学、民俗学）、『大日本地名辞書』を著した吉田東伍（歴史地理学）、義侠心から私財を投じ、宮古・八重山群島の人々を稀代の悪法、人頭税から救った中村十作（実業家）、『南島探験』などを著し、人頭税廃止に尽力した笹森儀助らも本書に名を連ねる独学の徒である。だが著者は、彼らの行動力、地に足が着いた学識を称えながらも、独学につきまとう「独断と自足」への警鐘も忘れてはいない。    本書は1992～1996年の5本の講演会と1本のシンポジウムの記録、4本の論文で構成されている。特に講演部分はその性質上、平易な言葉で丁寧に、繰り返して語られており、門外漢にも理解しやすい。ページをめくるのが惜しいくらいであった。（中山来太郎）, 単行本, ラベル: 晶文社, 晶文社, 製品グループ: Book, 公開: 1996-10, スタジオ: 晶文社, 売り上げランキング: 612318.

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   民俗学者谷川健一が、敬愛する6人の先達の生き方を通して、人生を自力で切り開いていくことの大切さを改めて問いかける。谷川自身が選んだ道も「生涯、独学者であり続ける」ことだった。柳田国男が興した日本の民俗学自体、独学に始まるわけだから、柳田に傾倒した著者としては当然の選択と言える。    だがこれも元をたどれば、国粋主義的傾向が強かった柳田が「西欧のマネ」を拒否したことに起因する。柳田にとっての師とは地に根ざした生活を送って来た老人や古い祠、さまざまな歴史的出土品、祭り道具、神社、地名、民話などだった。そして「日本人とは何か」という究極の命題に向かって、広範な知識と深い洞察力によって仮説を立て、自ら足を運んで検証する。その繰り返しだ。「結果ではなく関心の持続、問いの持続によってこそ民俗学は成立する」と柳田は語っている。  「人間とは何か」を問い続け、14年の海外生活も体験した南方熊楠（生物学、民俗学）、後に柳田と対立する折口信夫（国文学、民俗学）、『大日本地名辞書』を著した吉田東伍（歴史地理学）、義侠心から私財を投じ、宮古・八重山群島の人々を稀代の悪法、人頭税から救った中村十作（実業家）、『南島探験』などを著し、人頭税廃止に尽力した笹森儀助らも本書に名を連ねる独学の徒である。だが著者は、彼らの行動力、地に足が着いた学識を称えながらも、独学につきまとう「独断と自足」への警鐘も忘れてはいない。    本書は1992～1996年の5本の講演会と1本のシンポジウムの記録、4本の論文で構成されている。特に講演部分はその性質上、平易な言葉で丁寧に、繰り返して語られており、門外漢にも理解しやすい。ページをめくるのが惜しいくらいであった。（中山来太郎）, 単行本, ラベル: 晶文社, 晶文社, 製品グループ: Book, 公開: 1996-10, スタジオ: 晶文社, 売り上げランキング: 612318.